ストリップ小屋で

1970年頃だったか、

浅草の小屋で、見ていた。

踊り子の背中に、何か一筆という

お題が出た。

なぜか俺が指名された。

そして書いた。

「屁をひっておかしくもない一人者」と、

場内が白けた。

踊子も「何ですか?これは」と。

今思い出しても赤面する。

場違いのせりふ。

武田鉄矢の今朝の三枚おろしで、

小沢昭一の川柳を紹介された。

はっきり覚えなかったので、検索した。

いろいろ出てきた。

古今亭志ん生

「丸髷で帰る女房に除夜の鐘」

志ん生夫人はテレビで知っていたので、

この川柳は気に入った。

彼らの川柳仲間矢野誠一さんは

「地下鉄に下駄の音して志ん生忌」。

そして探し求めた小沢昭一さんの川柳が出てきた。

「まだ尻を目で追ふ老や荷風の忌」。

俺が小屋でどっちらけた川柳を書くより、

小沢昭一さんのこんな句が、粋と言うのだろう。

永井荷風は死ぬまでストリップ小屋の楽屋に

踊り子を追っかけていたそうだ。