吉川英治

二度寝、三度寝、

夢か現か、

寝ているのか起きているのかわからない。

吉川英治の「三国志 第1回」を聞きながら寝ようとしたが、

集中できず、「水滸伝1回」にした。まだまだ気が変る、

鳴門秘帖第1回」を聞いて真面目に寝ようと思ったが、

眠れそうにない。

鳴門秘帖」は青春の愛読書だったかもしれない。

18歳ぐらいの頃に読んだような気がする。

小説中の女性名前は忘れたが、その小説の女性を思い描いていた、

高校時代の俺を思い出した。

そしてまた途中でやめて、「小沢昭一の小沢昭一的こころ」にした。

「旨い安い大衆食堂について考える」を聞き始めて、起き上がった。

また今日も睡眠不足での生活が始まりそうだ。

小沢さんが外食券時代を語る。

昭和24年まで続いていたそうだ。

それを聞きながら、

北京遊学時代を思い出した。

外食券のいる時代だった。

超満員のレストラン、まず訊かれるのは外食券を出せ、だった。

無いと多めに料金を取られる。それならよかったのだが、

外食券無しで食事ができなかった場合もあった。

北京で知り合った于さんにそんなことを言うと、

彼が外食券をたくさんくれた。

于さんとは不思議な出会いだった。

北京で有名な焼売屋”都一処”に並んで食事をした時のこと、

前の席に可愛い女の子が一人でシューマイを食べていた。

中国人が自転車に乗っているころだ。

こんな食べ物を食べるのは裕福なんだろうかと思いながら

俺は彼女をちらちら見ながら食べていた。

こちらを見てにこっとしたので、食後声をかけた。

「私は日本人学生ですが、カメラであなたを写したいのですけど」

「いいですよ」と言われたのだが、カメラにはフィルムは入っていなかった。

本当のことを言うと、それではまた、と言って別れた。

そんなことを思い出しながらの「小沢昭一的こころ」。

次は「ただの人について考える」。

4時半になった。