邯鄲の夢 盧生

生きている間の楽しさも、ほんの一瞬の夢のようにはかないものである、という意味です。

唐の時代、呂翁という仙人が邯鄲の町へ行く途中、盧生という貧しい青年に会いました。盧生が自分の身の上をなげくと、呂翁はかれに、人生が自分の思いどおりになるふしぎな枕をかしてやりました。

盧生はその枕で自分の一生の夢を見ました。夢の中で盧生は難しい試験に合格して役人になり、どんどん出世して大臣になりました。

途中で無実の罪でつかまったりしましたが、そのうたがいもとけ、最後は幸せな人生を送って死ぬ、という夢でした。

盧生はすっかり満足してその長い長い夢からさめました。しかし起きてみると、寝る前に炊いていたご飯はまだたきあがっていませんでした。

盧生が見た五十年あまりの夢は、じつはご飯がたきあがる時間にもたりない、ほんの一瞬の夢にすぎなかったのでした。

中国の歴史5 集英社学習漫画から