鹿児島県民は子供の時からハブが怖かった。
露店にハブに噛まれた時の特効薬を売るおじさんがいた。
ハブを出してショーをしながらハブの薬を売っていた。
テキ屋さんだ。
寅さんもテレビの「男はつらいよ」ではハブに噛まれて死んだそうだが、
ハブが怖かったので俺は奄美に行かなかったのでは、と今思っている。
昭和46年4月、俺は那覇に住まった。
トイレは外にあった。汲み取り式だった。
俺はトイレが恐怖だった。トイレ使用中にハブが食い付いてこないかと。
ある時、部屋にいたら、「ハブが出たぞ」という叫び声が聞こえた。
厄介な所に住んだと思った。
俺が永久移住するつもりの沖縄から早々引き揚げてきたのは、ハブが原因だったのでは。