日本人のおなまえでこの違いが問題になった。
俺はすぐ隆明君を思い出した。
なぜ隆明君かはわからないが、
彼の口からきいたのが”しらたき”だったような気がする。
東京での学生時代だったのか、すき焼きを食べる時に、
彼がその言葉を口にしたのか。
50年前の記憶だからはっきり覚えているわけではないが、
すき焼きを作っても俺は肉は食わなかった。
だから豆腐と白菜だけ食べてゐたのだが、その時彼が
「しらたきは大丈夫か」と訊いたのだろう。
「しらたき何だ」がその時の俺だったかもしれない。
たぶん俺は糸こんにゃくという認識しかなかったのだろう。
今になって思えば、彼のご両親と我が両親は同じ熊本人だった。
俺がなぜ”しらたき”をその時知らなかったのか?
弟に訊いてみたい気持になった。
18歳、高校の時、国語の時間だったか、ニンニクとは何かと聞かれ、
俺は印肉とこたえて笑いを誘ったことを思い出す。
ニンニクもなぜ印肉を食べるのだろうかと思っていたことを、思い出している。
その後ニンニク大好き人間になったが。