それは柔道家の戦いだった。
彼女が高校3年の時、初めて彼女の柔道を見た。
彼女の柔道に心を打たれた。
相手は阿部詩。
今金メダルを勝ち取った素根輝の姿に、
あの日の金鷲旗の戦いが眼に浮かぶ。
俺も少年の頃から柔道をした。
1958年か59年だ。
その時には立派な柔道家になりたいと思ったかもしれない。
今、俺に柔道家を見せてくれたのが素根輝だった。
準決勝で抑え込んでいるときの彼女の澄んだ眼。
原沢が準決勝で負けた時に、素根に影響はないかと心配した。
しかし素根輝は自分と戦っていた。
女三四郎、だれに例えられるか。
敢えて言えば今日のTBSの柔道の司会者マラソンの高橋尚子さん。
あの時以来の感動を受けた。
俺の東京オリンピックのクライマックスだった。
血圧が異常に上がることを心配しながら試合を見ていた。
ありがとう素根輝さん、
たぶん素根輝さんを知らなかった人たちも明日は大騒動が起きているだろう。