夜中に小三治を聞いた。
マクラ話をずっと語り続けた。
マクラとは落語の本題に入る前の小噺である。
その中に初恋の話があった。
淡々と語ったが、とても面白かった。
1970年頃だ。彼が「初恋はたくさんあって、どれが初恋か確かなものはわからないが」といいながら中学校高校時代に付き合った女性の話をした。小三治らしいと思いながら聞いた。俺も初恋がどれかわからないぐらいたくさんある。5歳のころ、幼稚園、小1、小3、小4、小6、中1、中3、高1。とりあげればきりがないが、ここにその初恋のそれぞれを書き込んでみようかと思うほどに小三治の初恋話はよかった。ついでに言うと、俺が笑点で好きな落語家は林家たい平と三平だった。三平は笑点をしばらく離れた。
三平が好きな理由はそこにもある。大事なドル箱を捨てることのできる噺家。