台北許昌街

初めての外国の旅は台湾だった。

船での外国旅行。

基隆港に入港した。

基隆という名前は小学校の教科書で学んでいた。

当時戦前の台湾のことを書いていた社会か国語の教科書。

もう一度読みたい教科書がその本だ。

そのとき以来二度と見ていない教科書。

小学校時代に一番懐かしい教科書の内容がその台湾の旅だった。

俺はその記事に何が感動したのか、台北阿里山などが書かれていた。

そして1971年6月の初めての台湾の旅で、その教科書を思い出していた。

船上で一人の大学生と出逢った。早稲田の仏文科の学生で、ヨーロッパからの帰りに台湾の旅をしようとしていた。初めての外国旅、俺は彼について行った。基隆から汽車で台北へ、そして彼が泊まったホテルに俺も同行した。それがWMCAホテルだった。

外国で俺が初めて泊まったホテルでもある。そのホテルが許昌街にあったのだ。許昌

初めて知る地名だった。どこにあるのかさえも分からない地名。俺が少し勉強していたらその地名がどんなに大事な地名だったと気づいただろう。

その数十年後、大げさにいうと40年後、俺が三国志を勉強し始めた時に、そこが曹操の治めた町だということを知ることになった。

今、テレビで「曹操孔明」を見た。そんなことを思いだした。51年前の旅だ。