朗読 森たから
明け方聞いた。
少年時代のいたずらを思い出す。
いやな思い出だ。
叔父が八代から単車で鹿児島に遊びに来たことがあった。
叔父は「坊ちゃん」を持っていた。
叔父が帰るときに俺はその「坊ちゃん」を隠した。
叔父は「坊ちゃん」を知らないかと言いながら帰っていった。
なぜあんな意地悪をしたのか、俺は2年生か3年生だったような気がする。
岩波文庫か角川文庫の本だっただろう。
俺はその本を読んだのだろうか、と疑問に思いながら、
39歳で亡くなった叔父のことを思いだしている。
「坊ちゃん」という小説はいつもそのことを思いださせてくれる。