狗不理包子

この文字を見て、意味が分かる人は、

中国通だろう。

包子はわかるだろう。

上海に行く人も台北に行く人も、

中国旅の楽しみはおいしい包子を食うことでもあるだろう。

1981年に初めて中国へ旅をした。

俺は肉も魚も食わないので、中国料理が好きだったわけではなかった。

初めて台湾に行ったときは、焼き飯しか食べ物を知らなかった。

炒飯という焼き飯の中国語を覚えて、食堂に行くと壁に貼ってあるその炒飯だけを注文していた。そのうちわかったことが一般に焼き飯は蛋炒飯ということを知った。

最初に覚えた中国語の一つだった。餃子という言葉も中国語では言えなかった。

最初の中国北京旅で学校で先生に教えてもらった北京の名店が狗不理の包子だった。

北京の中心、紫禁城、入り口は天安門、出口は地安門、その地安門を出てから、近くに有名な狗不理があった。そこでビールと包子を食べた。美味しかった。

北京で経験した味の名店だった。その後は北京に行くたびに狗不理には行った。

北京の旅をした秀純君とも行ったような気がする。

その狗不理の包子。今朝も中国ドラマ「最も美しい中国」というのを見た。

中国の砂漠に植林をしようとしている若者たちを描いているドラマだが。大雪に阻まれて食料の補給ができなくなり、皆腹を空かせて、雪の止むことと、食料補給隊が来るのを宿舎で待ちこがれていた。その青年たちが、おいしかった料理を口に出して想像している場面があった。そこで狗不理の包子を彼らが思いだしていた。

その画面、映像が、おれにこのことを思いださせたのだ。

青春の一日、俺も狗不理包子店で友人たちと食べた日のことが懐かしく浮かび上がってきたのだった。