『昭和二十年夏、子供たちが見た日本』

梯久美子著 角川書店

目次

門野栄子

私は疎開してみたかったのね。

違うところに行ったら、違う世界が見えるんじゃないか、

別の運命があるんじゃないか。そう思ったの。

児玉清 

そうしたらね、入ってきたんですよ。ジープを先頭に。

ついこの前まで、鬼畜米英と思っていたんだけど。

目の前で見ると、やっぱり輝いて見えてしまう。

舘野泉

僕は、いい時代に育ったと思っているんです。

敗戦直後の、ものすごく自由で開放された雰囲気。

誰もが貧しかったけれど、活気があった。