プールから駅を通って帰っていた。
友人に似た人がいた。
しばらく、5秒くらい、マスク越しにその人を見た。
違うかもと、思ってそこを立ち去ったが、大きな声で
彼の名前を呼んでみようかと思った。
彼は後ろにいたが、前方の誰もいない方向に。
しかし、もう一度振り向て、声をかけた。
彼だった。中学校高校時代とても親しくしていた友人だ。
小学校の同窓会に来て、今から新幹線で帰るところだった。
土曜日に開催された小学校のシニア同窓会。
開催の中心になったのは、彼の幼なじみ博昭君だった。
先日、博昭君とこの同窓会のことを話した。
彼は「雄司君の兄さんたちは来るが、彼ら夫婦は来られない」と言った。
そしての今日の出会いだった。
私はいつも通る時間ではなかったが、時間帯ではあった。
駅を通って駐車場に行っている。
彼は立派な紳士になっいた。
私は上を見上げて語っていると彼が「君が小さくなった」と言った。
俺は今日ほど自分が縮んでいることを感じたことはなかった。
立ち話をして別れたが、偶然出会わせてくれた神に感謝した。
昭和42年、東京で彼は私の下宿屋に遊びにきたことがあった。
私のアパート時代を知っている友人たちは多いが、下宿屋を覚えているのは彼だけだったかもしれない。
大学を卒業して沖縄に飛び出した。その沖縄に知人を紹介してくれたのが彼のお母さんだった。
そんなことも思い出しながら帰ってきた。同窓会の企画者の博昭君にすぐ電話をして教えた。彼もびっくりしていた。俺を博昭君に結び付けてくれた友人が雄司君だった。
博昭君は私の結婚披露宴の仲人を務めてくれた。
30代の結婚式の仲人が彼ら夫婦だったが、仲人をした彼の奥さんの美貌が評判になったことは彼は知らないだろう。中学校ナンバー1の女性を彼は妻にしていた。
毎日毎日、新しいドラマがある。博昭君の企画した同窓会の効果があったのが俺になるとは。私も出席したかった彼の小学校同窓会ではあった。
小学1年2年の時の担任久子先生が、その学校に転勤されたので、その噂話を聞きたいと言う思いがあったので。博昭君に感謝します。