安盛の暁でーびる

ラジオ沖縄 5時

万博の年 1970年 俺の課題は卒業論文を仕上げることだった。

年初 初めて沖縄旅をした。

パスポートのいる時代、俺のパスポートは沖縄旅行から始まったのだった。

沖縄に旅立ったころは卒業論文のテーマーはまだ決まっていなかった。

落語と老荘思想を結び付けようか。芭蕉老荘思想古今亭志ん生研究などと考えていたが、沖縄旅が俺の考え方を変えた。

70年の年末までは仕上げなければならなかった。俺が最終的に決めたのは「琉歌に表れた沖縄女性の生活とこころ」を仕上げた。卒論担当教授は洞富雄先生、当時は先生がどんな人かも知らなかった。今のようにインターネットがあれば先生について詳しいことがわかったろうに。その後守年経ってから先生が「南京事件」研究の第一人者と知った。

もし今なら「南京事件」を研究対象にしたかもしれない。南京事件については、ジャーナリストの鈴木明さんの本で初めて深く知ることになった。

そんな男が54年過ぎた2024年、相変わら沖縄民謡番組を聞いているのだ。この放送局こそ俺が入社試験を受けて落ちた会社だった。この放送局の親会社琉球新報も入社試験を受けて落ちていた。入社試験の時期ではない1971年4月に試験を受けたが、当時俺が考えたことは俺のために入社試験を設定されたのではと。その入社試験を俺に勧められたのが当時の琉球新報沖縄ラジオ局の池宮城秀意社長だった。そんな思いを持ちながら、今朝もこの放送を聞いている。