バレンタインディという言葉が出てこなかった。
俺の脳は決して大丈夫ではなさそうだ。
こんな言葉が出てこない、今日は何度も使った言葉だったのに。
ところで、思い出したのは1970年2月14日のバレンタインディのプレゼントだった。
羽織の紐と宝くじをもらった。
それが先ほど易の本を開いたときに、出てきたのだ。
宝くじの券がだ。改めてその券の発売日を見ると、第675回東京都宝くじだ。1枚100円。昭和44年6月21日発行、するとバレンタインディのプレゼントにもらった宝くじではなかった。それ以前に買った宝くじだった。ふしぎな気持ちになっている。今日のことばの記憶がないのに、50年前のことはよく覚えている、これは安心できることではないようだ、老人のボケ、このような状態になることだそうだ。1970年2月14日、もちろん誰にもらったかはちゃんと覚えている。俺の宝くじの歴史が50年前からずっと続いていることが、なんといえばいいのか、執念か、馬鹿か。