蘇州でデイト

蘇州でデイトを企てた。

約束をしていた。

その人が人力車で郊外に遊びに行ったので、

帰って来るのを心待ちしていた。

夕方遅く帰って来たその人は

「今日は遅いから」とデイトはキャンセル。

俺は服部良一の♪蘇州夜曲の歌詞を思い浮かべてのデイトの構想と楽しみだったが、

その日は寂しい結果になった。蘇州の評弾の劇場前で俺はやけくそになり、

当時中国で人気のあった♪ソーラン節を大声で歌った。劇場の前に居た中国人や共に蘇州を旅した留学生一団が俺の歌声に集まって来た。中国人と歌の交流になったが、デイトができなかった日の懐かしい思い出でもある。翌日杭州でそのデイトは実現した。

まだ中国でも♪昴が歌われていなかった時代だ。