沖縄喜劇 戻りかご

テレビを消して、寝ようとした。

7時半ぶらたもりが始まった。

録画しているから、と床についた。

テレサテンのCDを選んだ。

鄧麗君ではなかった。

しばらく聞いて、YOUTUBにした。

朗読を聞こうとしたが、選んだのは

沖縄のラジオ番組「民謡で今日拝なびら」18年9月18日放送

放送演目の中に、「戻りかご」があった。

昔、この喜劇に感動したことがあったので、

聞いた。画面を見た。

出演者が懐かしかった。

1971年、沖縄の芝居小屋に通っていた頃の、

有名劇団員の役者さんだった。

瀬良垣孝子、久高将吉、嘉数好子。

タブレットの小さい画面だったが、

見入ってしまった。

眠れそうになかった。

興奮して来た。

歌いたくなった、踊りたくなった、飲みたくなった。

パソコンにこの興奮を打ち込むよりすべがなかった。

そしてその次に出てきたのは、

民謡「二見情話」いい歌だ。

1971年沖縄那覇で生活をした。

友人の家で、何度か食事に誘われた。

なんどかというよりいつもだった。

その時、そこのお母さんが口ずさんだのが、

この「二見情話」だった。

今、この歌を聞きながら、49年前、

そのお母さんが、俺に歌いかけるように、

口ずさまれた光景を思い出す。

眠れそうになくなった。

こんな生活でいいのだろうか?

今日は特定健診だった。

かかりつけの先生に、

「睡眠時間は3時間」ですとこたえた。

「何をしているのか」と先生。

「YOUTUBを聞いています」と。

若くして、宴会に行くのなら、盛り上がっていいのだが、

今、寝ようとしている70の老人が、

こんな興奮していいのだろうか。

せめて、こんな和歌でも

「世の中が虚しきときと知る時し、いよよますます悲しかりけり」