ついに俺も不安になった。
周りの人たちの油断が目に付くようになった。
コロナ禍の時期もずっと外食を続けていた。
ホテル外食が主だったがお客は俺一人ということが何度もあった。
おかげで俺が通ったホテルや焼き肉屋では、お得意さんになっていた。
ホテルバイキングもコロナ禍以前の賑わいが出てきた。
駅も人が多い。プールのおばあちゃんたちも安心してたむろしている。
俺は初めて気味がわるくなった。
オミクロン株が忍び寄ってくることが。
今日ワクチンを打つ。
病院を選べなくなっていた。
偶然、家から一番近い病院になった。
高校時代の後輩が開業した病院だ。
その後輩は早くに亡くなった。
子どもたちを連れてその病院にたびたび行った。
お医者さんが「先輩、こんいちわ」と声をかけてくれていた。
今日はその病院で何を見るのか、そのころ以来のこの病院だ。
降雪の天気予報があった朝だが、まだ外は見ていない。