俺の財産は

1981年の北京・上海を見たこと

1971年の台北を見たこと

1970年の那覇を見たこと

1967年の東京を見たこと

もう誰もそこには行けないだろう

俺はそこに行って来たのだ

中国CCTVの中国文芸を見ている

過去の北京を懐かしがっている歌を聞きながら

そう思った

これらの想い出を引きだすだけでも

どんな財宝でも手にいれることはできないだろう

そんな街を歩いた、20代の自分

歩いた、歩いた、見た、聞いた

恋した、旅した、食った、

歩けなくなった自分の身体を見つめて、

ぼろぼろになるまで歩いたからなあ

と諦められる

北京も上海も台北那覇も、

東京だって歩いた

新宿まで早稲田戸塚町から何度も歩いて行った

からしかたがないんだ

今からは脳内旅行をし続ける

無限とは思わないが、倒れるまで脳内散歩はできるはずだ