男の子  笑府

ある夫婦、つづけさまに男の子ばかり五人もうけた。

亭主が医者に、

「女の子がほしいのですが、どうすれば生れるでしょうか」

とたずねると、医者はへつらって、

「情慾が少ないと男の子が生れるといいます。あなたお若いにも似ず、たいへんおかたくて、つつしみ深いので、男の子ばかり生れるのでしょう。それも結構ですが、若くてお元気なうちは、もっといろいろお楽しみになった方がよろしいでしょう」

といった。すると衝立のかげでそれをきいていた女房が、

「あなた、先生のおっしゃるとおりですよ。わたしも男の子を生むのは、もうあきあきしたわ」

中国笑話集 駒田信二編 講談社文庫