ある夫婦、つづけさまに男の子ばかり五人もうけた。
亭主が医者に、
「女の子がほしいのですが、どうすれば生れるでしょうか」
とたずねると、医者はへつらって、
「情慾が少ないと男の子が生れるといいます。あなたお若いにも似ず、たいへんおかたくて、つつしみ深いので、男の子ばかり生れるのでしょう。それも結構ですが、若くてお元気なうちは、もっといろいろお楽しみになった方がよろしいでしょう」
といった。すると衝立のかげでそれをきいていた女房が、
「あなた、先生のおっしゃるとおりですよ。わたしも男の子を生むのは、もうあきあきしたわ」