「雨」  笑府

夜中に亭主がきざして女房をゆすぶった。すると女房は、

「いけません。あなたは明朝、お宮参りをなさるのでしょう?清浄な体でお参りにならなくては」

という。やがて亭主はあきらめて眠ってしまった。女房が後悔して、なかなか眠れずにいると、窓の外に雨の降る音がきこえてきたので、いそいそと亭主をゆすぶり起こしていった。

「あなた、もういいのよ。きこえるでしょう?しあわせが降ってきたわ」

中国笑話集 駒田信二編 講談社文庫