「素通り」 笑府

ある女房、夜中にきざしてきたが、口に出しかねて、

「ねえ、あなた、壁際の方へ寝てよ」

といった。亭主は女房の体の上を越えて行ったが、手を出そうとはしない。そこで女房はまた、

「やっぱり元の方がいいわ。もういっぺん入れかわってよ」

という。亭主はまた女房の体を乗り越えて行ったが、やはり手を出そうとはしない。すると女房は、

「誰もわたしの気持をわかってくれない!」

といって、わっと泣きだした。亭主が、