その日、俺は沖縄竹富島にいた。
卒業論文の資料集めの旅というのが名目だったが、
なんの資料も集めた記憶はない。
ただ安里屋ユンタの安里屋くやまの家を見学はした。
コザで騒動が起こった日だ。
竹富島にはそのニュースはその日には入らなかった。
当時の竹富島はニュースは沖縄から八重山にビデオテープが送られてくる
というようなシステムだった?
その日民宿泉屋に宿泊していた。
竹富島の小学校の先生が遊びに来られて、一緒に酒を飲み交わした。
御主人の上勢頭昇さんが三味線を弾きながら安里屋ユンタの元歌を歌ってくださった。
その日だったか、星砂の砂浜に洋服を脱ぎすて、サンゴ礁の海を真っ裸で泳いだ。
蛍も飛んでいた。
1970年12月20日、思い出すのはそんなことだ。
森村桂の「沖縄へ行く」を読んでからの旅だった。
森村桂さんもその民宿に泊まったということを上勢頭昇さんが話して下さった。
その上勢頭昇さんもずっと昔に亡くなられたそうだ。
一坪25セントと言われたので、100坪買いたいというと、ただでやるから家を作りなさいともいわれた。
その時竹富島で住もうかと思ったことが半世紀まえのこと。