少年の時、年1回のその大会が楽しみで生きていた。
大げさではない。
その大会が命だったのだ。
雨で何度か中止になった。
その時の俺のがっかりした様子。
今でも思い出せる。
旧暦8月15日、十五夜相撲大会。
俺が唯一自己表現できる舞台だった。
高校生になっても出場したので10年以上は楽しみにしていたかもしれない。
今年オリンピックが中止になるかもと思っていた時、
その時の自分の気持を思い出していた。
とりあえずオリンピックは実施されそうだ。
大きな声で喜びを表せない選手の人たちはひとしれず胸をなでおろしているだろう。
先日バス停留所で小学校の同級生と会った。
俺は彼を覚えていたが彼はわからなかったようだった。
俺が名前を言うと彼が「相撲の・・・」と覚えていた時のひそやかな嬉しさ。
ふとそれを思い出した。